「惑星のさみだれ」最終巻。惑星を砕く物語の終わり、続いていく物語。


最終巻読了。
終盤の展開は感極まるもので、連載で読んでいた時にも毎回のように泣いたのですが、単行本で読んでもっとボロボロ泣きました。
感極まる見事な最終巻で大団円。


感情レベルでも色々なことにしっかり決着をつけてくれた綺麗な最終巻だと思います。
納得を超えた終わり方。
面白いというだけでは生ぬるい面白さでした。
この作品に出会えて良かった。
大人になった少年のための少年漫画という表現をしたいと思います。
色々と書きたい気持ちなのですが、どう考えても自分の読み込みが足りなくて上手いこと書けなくて悔しい。
今はもう思ったことを書く簡単な感想で。



9巻でアニムスにとどめを刺した形で、10巻収録分はもう盛り上がる展開しかないメーターの振り切れっぷり。
読者には最初からわかっていたことですが、アニムスを倒しても彼がラスボスなんかじゃなくこれからが本当の最後の戦いと言えます。


そういえば、アニムスが見つけた輪廻の輪。単行本でようやく気づきました。
過去に転生して、業を償うのに500年はかかる…
夕日とさみだれの夢なんかのところでも思いましたが、時間軸が交錯する部分はかなり作りこみがなされて初めから描かれていると感じますので、また最初から読み直すと新しい発見があるんじゃないかと思いました。


それで最後の戦い。
惑星を砕く物語。
さみだれ・夕日vs獣の騎士団から、さみだれを止める夕日の戦いは期待以上のものであり、さらにその後にある意味想定してなかったけどすごくしっくり落ち着く戦いが用意されているという、多段構えの最終戦
夕日と戦うさみだれの、回想を交えた心情の吐露そのものな内面描写が胸を打ちますし、その決着の形にただただ感極まって泣きました。
全てをぶつけ、全てを受け入れたヒロインとヒーローと仲間の形そのもの。


惑星を砕く物語が終わり、訪れた別れのその描写がこれがもう涙なしには読めません。
そして涙で滲んで読めません。
騎士の数だけ組があり、その数だけ別れもあって、それぞれがそれぞれに大切な相棒だったんだとそう思わずにはいられません。
そこからなだれ込んでのこの物語を締めるにふさわしい戦い、日常に帰ってから感じるノイがいない実感。
たった3ページなのにノイの喪失感はものすごくてまたしても涙が溢れてきます。



最終話はもう最高としか言いようがないエピローグで、丸々その後のエピローグで、それからどうなったのかが気になる派としては最高としか言いようがありません。2回言いました。
やっぱり登場人物を好きになったんですもの、幸せな姿を見たい。その後を見たい。
そういう意味で、たっぷり多めのエピローグは非常に嬉しいものです。
あの戦いが思い出のひとつとなるくらい、彼らは彼らの物語を歩んでいるという、ね。
あの戦いで終わりじゃない、だからこそ彼らが読んだこちらの心に生きている、生き続けていると思えます。



本当に素晴らしい物語で、これからも何度も読み直すであろう作品です。
おつかれさま、ありがとう。