慎太郎、修羅と化す?-「華と修羅」第二十五話「夜会再び」

「華と修羅」のレビューバトンが回ってきたのでレビューするよ!


「華と修羅」はヤングジャンプで好評連載中の大正ゴシック・サーガです。
作画は「夜王」でおなじみの井上紀良先生。
元々この「華と修羅」のレビューはLOGIC&MATRIXの遊星さんがされていたもので、途中でだったらイケるぜ!のとらさんに投げられて律儀なとらさんはそれをナイスキャッチ。
そこから色々と回されて見失っていたのですが、いつも見ているところへ戻ってきてたまごまごさんのとこから自分のところへ渡されました。
普通に遊星さんのレビュー見て楽しんでいたので、不思議な感じで嬉しいです。
回してもらって感謝!


前回までのあらすじ

さて、この「華と修羅」。
全く読んでない方もいらっしゃることと思いますが、前回のあらすじとともにたまごさんのレビューでキャラ紹介も読んでおくといいんじゃないかな!


ほっこり兄さんが意外なことにかわいくて困る。「華と修羅」第二十四話「百合子の危機」 - たまごまごごはん


とはいえ、ウチで何も書かないのはさすがにどうかとも思いますので、三コマで分かる前回のあらすじ。




この女、陥落(おち)た!


肉兄さんこと、長男・新。ほっこり兄さんの計画を乗っ取り、百合子お嬢様の心を鷲掴み。マジ修羅。




兄さんには敵わないな…ほっこり兄さん可愛い


「百合子お嬢様は実は美彦様が好き」と女中に言われてその気になった次男のほっこり兄さん、自作自演の誘拐計画のいいところを肉兄さんに奪われうなだれる。何か可愛い。



一方、主人公である三男の慎太郎は…

目の前で攫われたお嬢様を追いかけたものの、転んで見失っただけ。主人公なのに影薄い気がするのは私だけでしょうか。


そんなこんなで、百合子お嬢様を心配し、お嬢様のお宅まで来た慎太郎が見たものは、肉兄さんに送られて帰宅するお嬢様の姿でした。


大正ゴシック・サーガ「華と修羅」第二十五話「夜会再び」レビュー

それでは今週の「華と修羅」です。
お嬢様との間にある誤解を解こうとする慎太郎ですが、ピンチを助けられた百合子お嬢様はすっかり新を信頼してしまっていて誤解を解くことができません。
というか、お嬢様は慎太郎に対しては頑なに疑いを持ったままですが、肉兄さんといい真智子といい、他の人の言うことはあっさり信じているような印象があります。
状況のせいなのか、はたまたこれが乙女心なのか…



お嬢様に拒絶され、橋の上で落ち込む慎太郎の前に慎太郎付きの女中である真智子が現れます。
この真智子、この女もまた修羅の1人。
慎太郎を愛するあまり、恋敵である百合子にあることないこと吹き込んで奪い取ろうとしていました。


慎太郎はそんなことがあったとは露知らず、真智子を唯一の絶対の味方で「絶対に疑わない」と信頼の言葉を告げます。
しかし、それを聞いた真智子は自責の念から…




動揺し、



橋からダイブ



それを見て慌てた慎太郎は真智子を掴み、



橋の上に引き戻しました。


そうして真智子を叱る慎太郎…ですが、読んでいて何か引っ掛かりを感じました。
何か変だぞ。



そもそも普通に読んでいて、よろよろと後ろによろけた真智子が橋から後ろ向きにダイブした場面で、足を踏み外したと思ったのです。
落ちる体勢はそんな感じだったのと、慎太郎の驚きようを見るに、突然落ちたと読み取ったのですね。



しかし、



バッ!


この擬音はどう考えても投身自殺してます。
となると、橋の手摺りの上に自分から乗っているはずで、目の前で見ていたらそこでおかしいと思うのが普通です。
慎太郎はどんだけ平和ボケしているのでしょうか。
それとも真智子の行動がハイスピードすぎたのでしょうか。
考えれば考えるほど謎は深まります。


また、真智子が身投げしたこのコマでは角度的なものもあるのでしょうけれど、手摺りよりも下まで落下しているように見えます。



その状態の真智子を一人で掴み、一人で引き上げる慎太郎。


もの凄い力。圧倒的な背筋力です。
引き上げるというよりも、もう投げ技。
慎太郎はまさに、気は優しくて力持ちだったのか!?
格闘ゲームで例えるなら、通常投げではなくて必殺技であるところのコマンド投げです。投げキャラですね。
これなら肉兄さんと渡り合えるかもしれません。



まだ謎はあります。


真智子が身投げをした時の反応から、慎太郎は首だけを動かしている感じで立ち位置は大きく動いていないと思われます。



身投げ前の2人の立ち位置はこんな感じ。


そこから


バッ!


あの距離ですもの、もちろん橋の上には慎太郎の姿はありません。



2コマ後には投げが発生!
移動が早すぎる!てか、タイミング的に掴めないだろ!


漫画は行間だけでなくコマの間を読むのも楽しさだと思うのですが、きっと激しい攻防があったのでしょう。
昼間仕事中に何がどうなっていたのか悶々と考えて考えてたら、ヨガの秘法で手足が伸びてたりしてたんじゃないか?とまで考えてしまっていました。
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえもっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…


読めば読むほど、考えれば考えるほど謎が深まります。
こういう時こそ探偵に頼りたい気持ち。
助けて、ミルキィホームズ
関係ないですが、私はミルキィホームズではアルセーヌ様が好きです。
会長がシャロに身体をペロペロさせる薄い本が読みたい。



そういえば、

今週ニコニコチャンネルで更新されていたミルキィホームズ第9話でシャロがDIOのザ・ワールドみたいなトイズ(能力)…というか、クロックアップみたいな能力を使ってましたが、慎太郎のこの動きもそういう類のものなんだろうと思うことで自分を納得させました。
もしクロックアップ的な能力だとしたら、慎太郎は天の道を往き、総てを司る男みたいなものですよね。
後に小説を書いたら賞を取って、性格的にも家柄的にも賞金の2000万円は辞退することでしょう。



話が大きく逸れました。



ともあれ、身投げを止め、助けられた真智子は百合子お嬢様に嘘をついていたこと、そして肉兄さんの妾をしていることを慎太郎に告白します。
それを聞いた慎太郎は気付かなかったこと、知らなかったことから自分を激しく責めます。
ここにも修羅がまた一人誕生したのでした。


しかし肉兄さんはさすがの鬼畜外道肉便器っぷりですね。
前回で、ほっこり兄さんの女中も裏切って肉兄さんの妾になりに行きましたし、さすが肉兄さんの愛称は伊達ではありません。


そんな肉兄さんはその頃、夜会で百合子お嬢様と踊っていました。



それを見ていたほっこり兄さん、凛々しいお顔。


ほっこり兄さんは、自分が次男だから家督を継ぐのは肉兄さんに譲っているのだという程の自信の持ち主だけあってさすが貫禄があります。



お嬢様の気持ちが自分に向いていると知っているので、ここぞとばかりに夜会でギャラリーがいる前でプロポーズをする肉兄さんと、求婚されたお嬢様の反応を見ても、



百合子お嬢様が自分を好いていると信じて疑わないほっこり兄さん。
人の言うことを信じて疑わないところは慎太郎と似ている気がします。変なところで純朴ですね。
貫禄と小物臭を併せ持つほっこり兄さんは表情も豊かで魅力的なキャラですし、他の方のレビューなんかを見ても人気があるのが頷けます。
ほっこり兄さんは可愛いところあるしね。


惜しむべきは、この辺りで修羅と化した慎太郎が夜会に乱入するため、今週のほっこり兄さんの出番はこの2コマだけなことです。
次回はもっと出番があると信じてる!




次のレビューは近代麻雀漫画生活のいのけんさんにバトンを渡します!
麻雀と絡めたレビューになるのか、そこが楽しみです。