恋を語る乙女の漫画 - おとめ恋々



おとめ恋々/石田敦子(Amazon)


アワーズプラスに連載されていた”恋を語る”漫画です。
ネコミミに尻尾なファンタジーの世界で、女子校に通う少女達が恋を語るお話で可愛らしいものとなっています。



表向きは家政科クラブ、しかしてその実態は乙女が恋や愛を語る「白薔薇恋々クラブ」。
恋に憧れ、恋焦がれ、恋に悩み、恋愛を語らい議論する乙女達の集う場なのです。



”恋を語る乙女”というのはそれだけで可愛らしい漫画ですが、舞台が女子校で少女漫画の演出・技法がなされているので可愛らしさ増加。
さらには、登場人物はネコミミで自分達の毛並みや血統書などといった単語もセリフとして出るので猫っぽいふわりとしたイメージがあり、あとがきで書かれているように現実感が薄いファンタジーな雰囲気があるのも、可愛らしさとともに「恋を語る」というテーマにあった雰囲気を作り出しています。



この漫画は”恋”をテーマにしていますが、男女が付き合う類の”恋愛”の描写はあまり無く、メインキャラが”恋心”を語らう描写がほとんど。
それ故に恋愛漫画にある、恋愛における葛藤や駆け引きといった要素はほぼ無くて、その点での盛り上がりもありません。
しかし、だからこそ”憧れ”といった系統の独特の雰囲気はあります。



では、この漫画はどんな話が展開されているのか。
それは乙女達が疑問に思ったことや直面した問題、例えば1話目では『乙女の自意識過剰のラインはどこ!?』といった具合にお題について話し合い、結論を出し解決するというもの。


石田先生があとがきで書かれているのですが、「男と女の恋愛意識の違いっておもしろいなー 男女集まって話してるとびっくりしたりさせたりだよね」と感じたことがこの漫画が出来るキッカケとなったようです。
つまり、”ある程度、実際の意見に基づいて作られている漫画”ということが言えるはずです。
特定層、一部の方の意見でしょうけれどもリアリティがあり、いち女性意見としても見れる部分はあるかと。それが面白い。


しかし、恋心を語る漫画でリアリティというのは特定の人には痛さを伴うわけで。
3話の「1ゲートの法則」はモテない男である私には痛かった…
男は、「好き・嫌い」で女性を恋愛対象として振り分けてる。しかも、簡単なキッカケで「好き」に振り分けられる。
女は、本能の選別によってキツく狭いゲートの内側に分けられた男性しか恋愛対象にならない…とか。


痛い、痛いよぅ。一部の意見だと思いたいですよ…
でも、男の方の感覚が身に覚えがありすぎるから困る。



おとめ恋々 (ヤングキングコミックス)

おとめ恋々 (ヤングキングコミックス)